売上は先月と変わらないのに、手元に残るお金が減っている。骨も、小麦粉も、チャーシュー用の豚肉も、少しずつ値上がりしているのはわかっている。けれど、1杯あたりいくら原価がかかっていて、どこを削ればいいのかまでは、はっきりつかめていない。

原価を下げる手を打つ前に、まず1杯の原価率を数字で把握することが出発点になります。製麺機メーカーの大成機械工業が、ラーメンの原価率の目安と計算方法、そして麺、スープ、トッピングのどこから下げると味を落としにくいかをまとめました。

ラーメンの原価率を考えるときの要点は、次の3つです。

  • 目安:日本政策金融公庫の業種別の目安では、ラーメン店に近い中華料理店の原価率は36%、人件費率は39%
  • 計算:1杯の原価率は、麺、スープ、タレ、トッピングの原価を足し、販売価格で割って求める
  • 下げる順番:味に直結するトッピングの量を削る前に、仕入れの仕組みとロスから見直す。麺は自家製麺、スープは骨の使い方で、味を保ったまま原価を下げられる余地がある

1. ラーメン店の原価率の目安はどれくらいか

原価率とは、売上に対する食材の費用の割合のことです。1杯900円のラーメンで食材の費用が300円なら、原価率は約33%になります。

日本政策金融公庫が飲食業を始める人向けにまとめた資料には、業種別の原価率と人件費率の目安が載っています。ラーメン店だけの数値はありませんが、近い業種の数値は次のとおりです。

業種 原価率 人件費率 合計
中華料理店 36% 39% 75%
そば、うどん店 32% 42% 74%
一般食堂 40% 44% 84%

出典:日本政策金融公庫「新たに飲食業を始めるみなさまへ 創業の手引+(プラス)」(令和7年9月)12ページ。元のデータは日本政策金融公庫総合研究所「小企業の経営指標調査 2023」の業種別経営指標平均値(小数点第一位を四捨五入)。合計は当社で計算(2026年10月26日確認)。
※表が切れている場合は、横にスクロールしてご覧ください。

原価率だけを見ても、店が利益を出せるかどうかはわかりません。中華料理店の平均では、原価率と人件費率を合わせると売上の75%になり、残りの25%で家賃、光熱費、返済などをまかない、利益を出すことになります。同じ手引も、原価、人件費、家賃、その他の経費のそれぞれの割合の合計が、利益を出せる水準になっているかを検討するよう勧めています。

つまり、原価率を下げる目的は、原価率の数字そのものではなく、人件費や家賃を払ったあとに利益が残る構造をつくることにあります。人手が少なく人件費率が低い店なら、原価率が平均より高くても利益は残りますし、その逆もあります。

2. 1杯の原価はどう計算するのか

1杯の原価は、ラーメンを構成する材料ごとに1杯分の費用を出し、足し合わせて計算します。材料ごとの1杯分の費用は、仕入れた量と金額から、1杯に使う量の分を割り出します。

計算の手順

  1. 材料ごとに、1杯に使う量を決める(麺1玉、スープ何mL、チャーシュー何枚など)
  2. 仕入れの金額と量から、1杯分の費用を出す(例:1kg 2,000円のチャーシュー用の豚肉から1杯分50gを使うなら、100円。ただし仕込みで目減りする分を考える)
  3. すべての材料の1杯分の費用を足して、1杯の原価を出す
  4. 1杯の原価を販売価格で割り、100を掛けて原価率を出す

次の表は、計算の流れを示すための例です。金額はすべて計算のための仮の数字なので、自分の店の仕入れ値に置き換えて計算してください。

材料 1杯分の原価(仮の数字) 備考
麺(1玉) 45円 仕入れ麺の場合
スープ 60円 骨、野菜、魚介などを、仕込み量と杯数で割った額
タレと香味油 20円
チャーシュー 70円 仕込みで目減りする分を含める
味付け玉子 25円
メンマ、ネギ、海苔 25円
合計 245円 販売価格900円なら、原価率は約27%

計算例の原価率は約27%で、公庫の目安の36%より低く見えます。ただ、店全体の原価率には、ラーメン1杯の材料のほかに、捨てた食材(ロス)、サイドメニュー、ドリンク、まかないなども含まれます。1杯の計算上の原価率が低くても、店全体の原価率が目安を上回っているなら、差の原因はロスやサイドメニューにあると考えられます。

1杯の原価を一度書き出すと、どの材料が原価の多くを占めているかが見えます。例では、チャーシュー、スープ、麺の3つで原価の7割を超えます。原価を下げる手を打つときは、この大きな項目から考えるのが効率的です。

3. 麺、スープ、トッピングのどこから下げるか

原価を下げる方法は、味への影響が小さい順に考えます。お客さまが気づく形で量や質を落とせば、原価率は下がっても客足が落ち、売上ごと利益が減るからです。

見直す場所 主な方法 味への影響
ロスと仕込み量 仕込み量を杯数に合わせる、計量を徹底する、売れ残りを減らす ほとんどない
麺 仕入れ先や仕様を見直す、自家製麺に切り替える 仕様を変えれば変わる。自家製麺なら、味を保ったまま原価を下げられる余地がある
スープ 骨の使い方を見直し、少ない骨で同じ濃さを出す 炊き方を変えれば変わるため、試作で確かめる必要がある
トッピング 1杯あたりの量を減らす、安い材料に替える お客さまに最も気づかれやすい

※表が切れている場合は、横にスクロールしてご覧ください。

最初に見直すのは、ロスと仕込み量

ロスと仕込み量の見直しは、味を変えずに原価を下げられる、最初に手をつけるべき部分です。スープやチャーシューを多めに仕込んで捨てている、計量せずに目分量で盛り付けている、といったロスは、1杯の計算には表れない原価です。杯数の記録をもとに仕込み量を決め、盛り付けを計量するだけでも、店全体の原価率は下がります。

麺は、自家製麺で味を保ったまま原価を下げられる

麺は毎日すべての杯に使う材料なので、1玉あたりの小さな差が大きな金額になります。仕入れ麺の1玉には、小麦粉代のほかに製麺所の利益と配送の費用が含まれており、自分で麺を打てば、その分を原価から外せます。

当社の調査では、仕入れ麺が1玉あたり約40〜50円、自家製麺なら約18〜26円で、差は約24円です(2026年10月時点、当社調査)。1日100杯、月25日営業なら、年間約72万円の差になります。1杯900円のラーメンなら、24円の差は原価率で約2.7ポイントにあたります。

自家製麺なら、自分のスープに合わせて麺の太さ、加水率、配合を決められるため、原価を下げながら麺で他の店と差をつけることもできます。ただし、製麺機の費用、置き場所、毎日の製麺の時間がかかるため、杯数が少ない店では割に合わないこともあります。

導入店の例:麺屋 大斗(東京都千代田区神田)

東池袋の『大勝軒』の流れを汲むつけ麺の店で、2種類の小麦粉をブレンドし、加水率を高めにしたストレートの太麺を毎日自分の店で打っています。14坪の小さな店ですが、場所を取らない製麺機を使うことで店の中での製麺を可能にし、特徴のある麺を低コストで作っています。

導入モデル:タイセーNo.3型(出典:大成機械工業「導入店のご紹介」、2026年10月26日確認)

スープは、骨の使い方で原価が変わる

スープの原価の多くは、豚骨や鶏ガラなどの骨が占めます。通常の寸胴で炊くと中身は100℃前後で止まり、骨の芯の旨味を出しきれないまま捨てていることがあります。骨の旨味を引き出しきれれば、同じ濃さのスープをより少ない骨で炊ける可能性があります。

骨の旨味を引き出す方法の一つが、鍋を密閉して100℃を超える温度で炊く圧力寸胴です。同じテンポスグループの明和製作所の圧力寸胴は、仕込み時間を通常の寸胴の約1/2に短縮でき、ガス代の削減にもつながります。骨の量をどこまで減らせるかはレシピによって違うため、試作で確かめてから判断してください。詳しくは、豚骨、鶏ガラの値上げの波に勝つ方法(業務用圧力寸胴)で解説しています。

トッピングの量は、最後に考える

チャーシューを薄くする、味付け玉子を半分にする、といったトッピングの見直しは、原価への効果が大きい一方で、お客さまに最も気づかれやすい方法です。量を減らすなら、一杯の値段の改定やメニュー構成の見直しとあわせて、お客さまが納得できる形にする必要があります。逆に、トッピングを有料の追加メニューにすれば、原価率を保ちながら客単価を上げる方法にもなります。

4. 自家製麺を試す方法(製麺機タイセーの場合)

製麺機タイセーは、設計と製造を大成機械工業が、販売と導入後の教育を総代理店のキッチンテクノが担う、30年以上続く業務用の製麺機です。自家製麺で原価がどれだけ下がるかを、いきなり機械を買わずに確かめる方法があります。

  • 無料のラーメン学校:キッチンテクノが東京と大阪でそれぞれ月1回、札幌で不定期に開いている1日完結の実演会。実機で麺とスープを試作し、試食できる
    東京の会場:テンポス東京ラーメン専門館(東京都足立区東綾瀬2-1-14)
    大阪の会場:テンポス大阪ラーメン専門館(大阪府大阪市住之江区北島2-1-8)
  • レンタル:月々62,000円からで、自分の厨房に置いて、原価と仕込みの時間を実際に確かめられる。納得してから購入に切り替える相談もできる
  • 早期納品:定番のNo.2は早期納品用の在庫を用意しており、在庫があれば国内は1〜2週間で納品できる。整備済みの中古機なら、在庫があれば最短1週間で納品できる

モデルは、小規模店や試作向けのNo.1、最も多くの店舗に選ばれている定番のNo.2、大量仕込み向けのNo.3の3つで、全モデルにミキサーを標準装備しています。本体価格はNo.1が1,688,000円、No.2が1,875,000円、No.3が2,475,000円(いずれも税別、2026年10月時点)で、錆びにくく塗装のはがれがないステンレスバージョンも全モデルで受注生産を始めています(価格はお問い合わせください)。月間の杯数別の試算は、仕入れ麺から「タイセー」へ切り替えたときの手残り利益で解説しています。

5. よくあるご質問

原価率は、低ければ低いほどいいですか?
原価率が低いほど良いとは限りません。原価率を下げるために量や質を落とせば、お客さまの満足度が下がり、客足が減ることがあります。原価率の良し悪しは、人件費率や家賃などと合わせたうえで、利益が残る構造になっているかどうかで判断します。
光熱費は、原価に含めますか?
一般に、原価率の計算に含めるのは食材の費用で、ガス代や電気代などの光熱費は経費として別に扱います。ただ、スープを長時間炊くラーメン店では光熱費の負担が大きいため、原価率とあわせて、売上に対する光熱費の割合も確かめておくと、利益の構造が見えやすくなります。
替え玉や大盛りは、原価率にどう影響しますか?
替え玉や大盛りは、追加で使うのが主に麺だけなので、追加の販売価格に対する原価率は低くなりやすいメニューです。そのため、麺の原価が下がれば、替え玉や大盛りの利益も増えます。替え玉の多い店ほど、麺の1玉あたりの原価の差が大きく効きます。
原価率は、どのくらいの頻度で見直せばいいですか?
仕入れ値が変わったときと、メニューの価格や量を変えたときには、計算し直してください。仕入れ値が変わらなくても、月に一度、店全体の食材の仕入れ額を売上で割って、店全体の原価率を確かめておくと、ロスの増減に早く気づけます。

原価を下げる手を打つ前に、まずは今のラーメン1杯の原価を書き出してみてください。どの材料が原価の多くを占めているかがわかれば、味を落とさずにどこから下げるかが見えてきます。

麺の原価がどれだけ下がるか、試算してみませんか

1日の杯数と、今の仕入れ麺の単価をお知らせいただければ、自家製麺に切り替えた場合の原価の試算をお出しします。東京と大阪で毎月開いている無料ラーメン学校では、実際の製麺機で麺を打って確かめることもできます。