いつか自分のラーメン店を持ちたい。スープの味は決まってきたし、物件も探し始めた。けれど、いざ開業となると、いくら用意すればいいのかが見えてこない。

ラーメン店の開業資金は、物件、内装、厨房機器、麺の調達、そして開業後しばらくの運転資金に分けて考えると、どこにいくらかかるのかが整理できます。製麺機メーカーの大成機械工業が、厨房機器はテンポスドットコムの販売価格をもとに、開業資金の考え方をまとめました。

ラーメン店の開業資金は、次の5つに分けて見積もります。

  • 物件の取得費:保証金(敷金)、礼金、仲介手数料、前払いの家賃など
  • 内装工事費:居抜きかスケルトンか、どこまで自分で手を入れるかで大きく変わる
  • 厨房機器と備品:最低限の厨房機器を、新品でそろえると約159万円、中古を組み合わせると約124万円(当社の試算)
  • 麺の調達:仕入れ麺なら初期費用はほとんどかからず、自家製麺なら製麺機の費用がかかる
  • 運転資金:開業後、売上が安定するまでの家賃、人件費、材料費。少なくとも6か月分が目安

1. 開業資金は何に使うのか

ラーメン店の開業資金は、店を開ける前に一度だけかかる費用と、開業後に毎月出ていく費用の備えに分かれます。前者が物件の取得費、内装工事費、厨房機器と備品、麺の調達のための設備で、後者が運転資金です。

開業前にかかる費用のうち、金額の幅が最も大きいのは内装工事費です。同じ広さの店でも、前の店の設備が残る居抜き物件か、何もないスケルトン物件かで、必要な工事がまったく変わるからです。物件の取得費も、地域や立地、物件ごとの契約条件によって大きく違います。

物件の取得費と内装工事費は、実際の物件と見積もりで確かめるしかありません。一方、厨房機器はメニューと規模が決まれば必要なものがほぼ決まるため、開業前に具体的な金額を出せます。

2. 内装工事費は、物件の状態で決まる

内装工事費の大部分は、居抜き物件かスケルトン物件かで決まります。

  • 居抜き物件:前の店の厨房や内装が残っているため、使える設備が多ければ費用を抑えやすい。ただし、残った設備が故障していたり、新しい業態に合わなかったりすると、撤去と新設の両方の費用がかかる
  • スケルトン物件:内装も設備もないため、水道、ガス、電気をゼロから引く工事が必要になる。そのぶん、厨房の配置を自由に決められる

ラーメン店で特に確かめておきたいのが、電気とガスの容量です。電気式のゆで麺機や業務用の冷凍冷蔵庫には三相200Vの電源が必要な機種が多く、ガス式の機器を並べればガスの供給量も足りるかを確かめる必要があります。契約の前に、入れる予定の厨房機器の電源とガスの種類を一覧にしておくと、追加の工事費を防ぎやすくなります。

内装費を抑える方法の一つに、中古の内装資材を使い、塗装や組み立てなど自分でできる工程は自分で行い、電気、ガス、水道などの工事だけを職人に頼むやり方があります。テンポス川口飲食内装資材専門館(埼玉県川口市)では、1,254㎡のワンフロアに並ぶ家具、照明、建具、床材などの中古の内装資材を実物で確かめて選べ、必要な工程だけを頼める職人の紹介も受けられます。職人の紹介は、依頼する側の手数料がかからず、見積もりも無料です(契約と支払いは職人と直接)。トラックは4tまで乗り入れて積み込めるため、大きな資材もその場で持ち帰れます。

出典:テンポス川口飲食内装資材専門館「お店を作る」、「中古内装資材はどこで買う?」(2026年10月26日確認)

内装の費用をもっと詳しく知りたい場合

3. 厨房機器に、いくらかかるのか

ラーメン店の厨房機器の費用は、テンポスドットコムの販売価格で計算すると、最低限の機器を新品でそろえて約159万円、中古を組み合わせて約124万円です。麺をゆでる、スープを炊く、材料を冷やす、洗うという、ラーメン店の基本の作業に必要な機器を一つずつそろえた場合の試算です。

機器 新品の例 新品 中古の例 中古
ゆで麺機 マルゼン MR-15M(幅650mm) 292,461円 マルゼン MREF-046(幅400mm、三相200V) 204,160円
縦型冷凍冷蔵庫 フクシマガリレイ GRN-121PX1(幅1200mm) 267,711円 大和冷機 403YS1-EX(幅1200mm) 249,370円
冷蔵コールドテーブル パナソニック SUR-UT1241(幅1200mm) 108,947円 パナソニック SUC-N1261J(幅1200mm) 114,180円
ガステーブル(3口) マルゼン MGT-096DS(幅900mm) 77,099円 マルゼン MGT-096DS(幅900mm) 60,170円
寸胴用の鋳物コンロ(2台) タチバナ TS-210 24,644円 (新品を使用) 24,644円
製氷機(25kg) ホシザキ IM-25M-2 149,875円 (新品を使用) 149,875円
食器洗浄機 テンポスオリジナル TBDW-400BATU1 554,390円 マルゼン MDKST8E(単相100V、50/60Hz) 325,160円
二槽シンク マルゼン BST2-124(幅1200mm) 59,280円 (新品を使用) 59,280円
作業台 テンポスオリジナル TBWT-094(幅900mm) 16,380円 (新品を使用) 16,380円
寸胴鍋(2つ) TB ステンレス寸胴鍋 36cm 41,230円 (新品を使用) 41,230円
合計 1,592,017円 1,244,449円

※価格はテンポスドットコムの各商品の販売価格(税込、2026年10月26日時点)です。価格や在庫は変動するため、購入の際は最新の価格をご確認ください。送料、設置費、ガスや電気の接続工事費は含みません。
※中古の機器は在庫が1点ずつのため、同じ機種がいつもあるとは限りません。
※表が切れている場合は、横にスクロールしてご覧ください。

厨房機器の試算からは、選び方について3つのことがわかります。

まず、中古がいつも新品より安いとは限りません。テンポスドットコムでは新品の多くが定価から大きく値引きされて販売されており、冷蔵コールドテーブルのように、新品の販売価格が中古を下回る機種もあります。製氷機も、同じくらいの能力なら中古より新品のほうが安い例がありました。新品と中古は、機種ごとに価格を比べてから選ぶのが確実です。

次に、合計を最も大きく左右するのは食器洗浄機です。新品と中古の差は約23万円で、合計の差のおよそ3分の2を占めます。席数が少なく洗い物の量が少ない店では、開業の時点では食器洗浄機を入れず、二槽シンクで手洗いする選択肢もあります。その場合、合計は新品で約104万円、中古を組み合わせて約92万円になります。

最後に、電源も確かめる必要があります。中古のゆで麺機の例は三相200Vの電気式で、店に動力の電源がなければ使えません。ガス式を選ぶ場合も、都市ガスかプロパンガスかで機種が変わります。中古の食器洗浄機の例(マルゼン MDKST8E)は単相100Vで、50Hzと60Hzのどちらでも使えますが、中古の中には「60Hz専用」など周波数が限られる機種もあります。東日本(50Hz)と西日本(60Hz)のどちらで使うかに合わせて、周波数も確かめてください。

厨房機器のほかに、どんぶりやレンゲなどの食器、てぼ、スープこし、まな板などの調理道具、券売機やレジなどもそろえる必要があります。メニューや席数によって必要な数が変わるため、上の合計には含めていません。

4. 麺の調達で、開業時の費用はどう変わるのか

麺をどう調達するかによって、開業時にかかる費用と、開業後の毎月の原価が逆の方向に変わります。

調達の方法 開業時の費用 開業後の原価 向いている店
仕入れ麺 ほとんどかからない 1玉あたり約40〜50円 開業資金を抑えたい店、杯数の見込みがまだ立たない店
自家製麺(製麺機を購入) タイセーNo.1で1,688,000円(税別)から 1玉あたり約18〜26円 開業時から麺で差をつけたい店、杯数の見込みが立っている店
自家製麺(製麺機をレンタル) 月々62,000円から 1玉あたり約18〜26円(レンタル料は別) 開業時の資金を抑えながら、自家製麺を試したい店

※1玉あたりの原価は2026年10月時点の当社調査による一般的な相場です。製麺機の価格は2026年10月時点のものです。

仕入れ麺と自家製麺の1玉あたりの差は約24円で、1日100杯、月25日営業なら年間約72万円になります。製麺機タイセーNo.1の本体価格を年間約72万円の差で割ると、約2年4か月で本体価格に届く計算です(電気代、人件費、修理の費用は含みません)。

開業時の資金を最も抑えられるのは、仕入れ麺で始める方法です。一方、開業後に仕入れ麺から自家製麺に切り替えると、麺の味が変わり、常連さんが戸惑うことがあります。開業時から自家製麺で始めれば、麺も店の味の一部として最初から覚えてもらえます。どちらを選ぶかは、開業資金にどれだけ余裕があるかと、麺で他の店と差をつけたいかで決まります。

麺の調達をもっと詳しく知りたい場合

5. 運転資金は、どれだけ見ておけばいいのか

運転資金とは、開業後、売上で毎月の支出をまかなえるようになるまでの家賃、人件費、材料費、光熱費の備えのことです。開業したばかりの店は、お客さまが定着するまで売上が安定しないことが多く、その間の支出を手元の資金でまかなう必要があります。

運転資金は、少なくとも6か月分を見ておくのが目安です。日本政策金融公庫の飲食店向けの創業の手引は、事業開始後の運転資金として「半年程度の赤字補てん資金等」の準備ができているかを、創業前の確認項目に挙げています。テンポスの開業支援サイトも、ラーメン店の開業では最低6か月分の運転資金を用意しておくよう勧めています。

ただし、運転資金を借りられる額には限りがあります。テンポスの開業支援サイトによると、運転資金の融資の限度額は通常3か月分程度が目安で、それを超える分は自己資金で用意する必要があります。開業資金を借りる場合は、設備の資金と運転資金を分けて計画を立て、金融機関に相談してください。

出典:日本政策金融公庫「新たに飲食業を始めるみなさまへ 創業の手引+(プラス)」(令和7年9月)、テンポス 飲食店開業マップ「ラーメン店開業の資金調達」(いずれも2026年10月26日確認)

内装工事や機器の手配が遅れて開店が延びると、売上のない家賃が出ていきます。居抜き物件で開業を急ぐ場合は、厨房機器や製麺機の納期も、開業資金の計画に入れておく必要があります。

6. 自家製麺で開業する方法(製麺機タイセーの場合)

製麺機タイセーは、設計と製造を大成機械工業が、販売と導入後の教育を総代理店のキッチンテクノが担う、30年以上続く業務用の製麺機です。開業の準備に合わせて、次の方法を選べます。

  • 無料のラーメン学校:キッチンテクノが東京と大阪でそれぞれ月1回、札幌で不定期に開いている1日完結の実演会。製麺とスープに加え、開業と経営のノウハウも学べる
    東京の会場:テンポス東京ラーメン専門館(東京都足立区東綾瀬2-1-14)
    大阪の会場:テンポス大阪ラーメン専門館(大阪府大阪市住之江区北島2-1-8)
  • レンタル:月々62,000円からで、開業時の資金を抑えて自家製麺を始められる。納得してから購入に切り替える相談もできる
  • 早期納品:定番のNo.2は早期納品用の在庫を用意しており、在庫があれば国内は1〜2週間で納品できる。整備済みの中古機なら、在庫があれば最短1週間で納品できる

モデルは、小規模店や開業初期向けのNo.1、最も多くの店舗に選ばれている定番のNo.2、大量仕込み向けのNo.3の3つで、全モデルにミキサーを標準装備しています。本体価格はNo.1が1,688,000円、No.2が1,875,000円、No.3が2,475,000円(いずれも税別、2026年10月時点)で、錆びにくく塗装のはがれがないステンレスバージョンも全モデルで受注生産を始めています(価格はお問い合わせください)。

7. よくあるご質問

厨房機器は、新品と中古のどちらを選べばいいですか?
新品と中古は、機種ごとに価格と保証を比べて選ぶのが確実です。テンポスドットコムでは新品が値引きされて販売されていることが多く、機種によっては新品の販売価格が中古を下回ります。中古を選ぶ場合は、保証の期間と、店の電源やガスの種類に合っているかも確かめてください。
厨房機器の電源で、気をつけることはありますか?
電気式のゆで麺機や業務用の冷凍冷蔵庫には、三相200Vの電源が必要な機種が多くあります。物件に動力の電源がない場合は、契約の変更や配線の工事が必要になるため、物件を決める前に、入れたい機器の電源を確かめておくと安心です。ガス式の機器は、都市ガスかプロパンガスかで機種が変わります。
開業時は仕入れ麺で始めて、あとから自家製麺に切り替えてもいいですか?
仕入れ麺で始めて、杯数が安定してから自家製麺に切り替える店もあります。ただし、途中で麺を変えると味が変わるため、限定メニューで自家製麺を出して反応を見るなど、段階的に切り替えるのが無難です。
開業資金を借りるとき、どんな準備が必要ですか?
開業資金を借りる場合、設備や内装に使う資金には、見積書を求められるのが一般的です。日本政策金融公庫の創業の手引も、内外装工事について2社以上から見積書を取り、価格の妥当性をつかんでいるかを確認項目に挙げています。自己資金は、設備の資金と6か月分程度の運転資金を合わせた初期費用の3分の1以上あるのが理想とされ、それを下回ると融資を受けるハードルが高くなります(テンポス 飲食店開業マップ)。厨房機器や製麺機、内装工事の見積書を早めにそろえ、設備の資金と運転資金を分けた計画を立てて、金融機関に相談してください。

開業資金のうち、厨房機器と麺の調達の費用は、メニューと規模が決まれば開業前に具体的な金額を出せます。まずは自分の店に必要な機器を書き出し、新品と中古の価格を比べるところから始めてみてください。

開業の前に、麺とスープを一度つくってみませんか

東京と大阪で毎月開いている無料ラーメン学校では、実際の製麺機で麺とスープを試作し、開業と経営のノウハウも学べます。製麺機の購入、レンタル、早期納品のご相談も承ります。