今月も行列はできた。売上の数字も悪くない。それなのに、借入の返済と自分の生活費を払うと、通帳にはほとんど何も残らない。
ラーメン店が儲かっているかどうかは、売上ではなく、経費を引いたあとの利益で決まります。しかも個人で営む店では、帳簿の上の利益と、店主の手元に実際に残るお金は同じではありません。製麺機メーカーの大成機械工業が、日本政策金融公庫の資料をもとに、ラーメン店の利益率の考え方と、手元に残るお金の計算方法をまとめました。
ラーメン店の利益とは、売上から原価、人件費、家賃、その他の経費を引いた残りで、売上に対する利益の割合を利益率と呼びます。
- 目安:ラーメン店に近い中華料理店の平均は、原価率36%、人件費率39%。売上の残り25%から、家賃、光熱費、返済などを払い、利益を出す
- 計算:利益 = 売上 - 原価 - 人件費 - 家賃 - その他の経費
- 手元に残るお金:利益に減価償却費を足し、借入の返済元金と、個人の店なら店主の生活費を引いた額
- 増やし方:原価と人件費の割合を下げるのが近道。麺を自家製にすると、1日100杯の店で売上に対する利益の割合がおよそ2.7ポイント上がる
1. ラーメン店の利益は、売上のうちどれくらい残るのか
ラーメン店の利益は、売上から4つの費用を引いて求めます。4つの費用とは、食材などの原価、従業員の給料などの人件費、家賃、そして光熱費や広告費、借入の利息などのその他の経費です。
日本政策金融公庫が飲食業を始める人向けにまとめた資料には、業種別の原価率と人件費率の平均が載っています。ラーメン店だけの数値はありませんが、近い業種の中華料理店では、原価率が36%、人件費率が39%です。
| 業種 | 原価率 | 人件費率 | 売上から2つを引いた残り |
|---|---|---|---|
| 中華料理店 | 36% | 39% | 25% |
| そば、うどん店 | 32% | 42% | 26% |
| 一般食堂 | 40% | 44% | 16% |
出典:日本政策金融公庫「新たに飲食業を始めるみなさまへ 創業の手引+(プラス)」(令和7年9月)12ページ。元のデータは日本政策金融公庫総合研究所「小企業の経営指標調査 2023」の業種別経営指標平均値。「売上から2つを引いた残り」は当社で計算(2026年10月26日確認)。
※表が切れている場合は、横にスクロールしてご覧ください。
中華料理店の平均なら、原価と人件費を払った時点で、売上の4分の1しか残りません。その25%から家賃、光熱費、借入の利息などを払い、さらに残った分が利益になります。仮に家賃と光熱費などで売上の15%を使う店なら、利益は売上の10%ほどという計算です。原価率と人件費率をそれぞれ数ポイント下げられるかどうかが、利益が残るかどうかの分かれ目になるのはそのためです。
2. 利益はどう計算するのか
利益の計算は、日本政策金融公庫の創業計画書と同じ形で、1か月の数字を並べると整理しやすくなります。同じ手引には、飲食店の創業計画書の記入例が載っています。ラーメン店の例ではありませんが、計算の形を知るには十分です。
| 項目(1か月) | 創業当初 | 軌道に乗った後 |
|---|---|---|
| 売上 | 256万円 | 332万円 |
| 原価(原価率35%) | 90万円 | 117万円 |
| 人件費 | 60万円 | 78万円 |
| 家賃 | 20万円 | 20万円 |
| 支払利息 | 2万円 | 2万円 |
| その他(光熱費、広告宣伝費など) | 50万円 | 60万円 |
| 利益 | 34万円(約13%) | 55万円(約17%) |
出典:日本政策金融公庫「創業の手引+」10ページの、事業の見通し(月平均)の記入例。利益率(かっこ内)は当社で計算。記入例の人件費には、個人営業の場合の事業主(店主)の分は含まれていません。
記入例では、売上が伸びると、利益率も約13%から約17%に上がっています。家賃は売上が増えても20万円のまま変わらないため、売上が増えるほど、売上に対する家賃の割合が下がり、そのぶん利益の割合が増えます。逆に、売上が見込みを下回ると、家賃などの変わらない費用の割合が上がり、利益は一気に減ります。公庫の手引も、売上は低め、経費は多めに見積もり、それでも成り立つ収支計画を立てるよう勧めています。
3. 帳簿の利益と、手元に残るお金はどう違うのか
個人で営むラーメン店では、帳簿の上の利益が、そのまま店主の自由になるお金ではありません。記入例の注記のとおり、個人営業の店の人件費には店主自身の給料が入っていないため、店主の生活費は利益の中から払うことになります。開業資金を借りていれば、借入の返済も利益の中から払います。
日本政策金融公庫の創業計画書では、手元に残るお金を次の2つの式で確かめます。
- 返済財源 = 減価償却費 + 当期利益
- 収支見込 = 返済財源 - 借入金の返済元金 - 家計費(個人の店の場合)
減価償却費は、厨房機器や内装などの購入費を、何年かに分けて経費にした額です。実際にお金は出ていかないため、利益に足し戻して考えます。収支見込がマイナスになる計画は、売上が見込みどおりでも、返済か生活費のどちらかが払えなくなる計画です。
出典:日本政策金融公庫「創業の手引+」の創業計画書の「返済計画」欄(2026年10月26日確認)。
たとえば記入例の創業当初の店で、月の利益が34万円、借入の返済元金が月10万円、店主の家計費が月25万円だったとします(返済元金と家計費は計算のための仮の数字です)。減価償却費を月5万円とすると、手元に残るお金は 34万円 + 5万円 - 10万円 - 25万円 = 4万円です。利益率13%の店でも、店主の手元に残るのは月4万円ほどということになります。
4. 利益が残らない店に多い原因
利益が残らない原因は、一つではなく、いくつかが重なっていることがほとんどです。次の4つは、どれも別々の原因なので、自分の店がどれに当てはまるかを分けて確かめます。
- 原価率が高い:食材の値上がりを売価に反映できていない、仕込みのロスが多い、盛り付けの量がばらついている
- 人件費率が高い:仕込みに時間がかかり、営業時間外の作業に人を割いている
- 家賃などの変わらない費用が売上に比べて重い:立地に対して売上が見込みに届いていない
- 売上の見込みが甘い:開業前の計画で売上を高く見積もりすぎ、経費を少なく見積もっていた
原価率と人件費率は、店の工夫で変えられる割合です。家賃は契約で決まり、売上の見込みは立地と客数に左右されるため、すぐには変えられません。利益を増やすには、まず原価率と人件費率から手をつけるのが現実的です。原価率の細かな見直し方は、当サイトのコラムラーメンの原価率の目安と計算方法で解説しています。
5. 麺とスープで、利益をどれだけ増やせるのか
ラーメン店で原価率と人件費率を同時に下げやすいのが、毎日すべての杯に使う麺とスープです。
麺を自家製にすると、利益率はどう変わるのか
仕入れ麺の1玉には、小麦粉代のほかに製麺所の利益と配送の費用が含まれており、自分で麺を打てば、その分を原価から外せます。当社の調査では、仕入れ麺が1玉あたり約40〜50円、自家製麺なら約18〜26円で、差は約24円です(2026年10月時点、当社調査)。
1日100杯、月25日営業の店なら、差額は月6万円、年間で約72万円になります。1杯900円で売上が月225万円の店なら、月6万円は売上の約2.7%にあたり、利益率がおよそ2.7ポイント上がる計算です。月6万円という金額は、3章の計算で店主の手元に残ったお金(月4万円)を上回ります。売上に対しては数%の差でも、手元に残るお金で見ると大きな差になります。ただし、製麺機のリース代やレンタル料、電気代、製麺にかかる人の時間は別にかかるため、実際に増える利益は、それらを差し引いた額になります。
自家製麺なら、自分のスープに合わせて麺の太さ、加水率、配合を決められるため、利益を増やしながら麺で他の店と差をつけることもできます。杯数が少ない店では、製麺機の費用のほうが大きくなり、割に合わないこともあります。
導入店の例:麺屋 大斗(東京都千代田区神田)
東池袋の『大勝軒』の流れを汲むつけ麺の店で、2種類の小麦粉をブレンドし、加水率を高めにしたストレートの太麺を毎日自分の店で打っています。14坪の小さな店ですが、場所を取らない製麺機を使うことで店の中での製麺を可能にし、特徴のある麺を低コストで作っています。
導入モデル:タイセーNo.3型(出典:大成機械工業「導入店のご紹介」、2026年10月26日確認)
スープの炊き方を変えると、何が下がるのか
スープは、骨などの原価に加えて、長時間炊くガス代と、火の番をする人の時間がかかる工程です。同じテンポスグループの明和製作所の圧力寸胴は、仕込み時間を通常の寸胴の約1/2に短縮でき、90Lモデルを導入した店では、豚骨スープのガス代が月15万円から7万円に下がった実績があります(削減幅は仕込み量や運用条件によって異なります)。詳しくは、業務用圧力寸胴の原価削減の解説をご覧ください。
実際に圧力寸胴を導入した鶏白湯の専門店の店主は、仕込みにかかる人の時間の変化を次のように話しています。
「スープの仕込み時間は、トータルで3、4時間くらい短くなりました。ガラを潰したり混ぜ続けたりする作業も、全部で2、3時間くらい減っています。一番変わったのは、昼と夜の営業の間のアイドルタイムに、スープを見ていなくても安心して休めるようになったことです。」
「普通の寸胴で炊くスープは感覚的なところが多くて、次の人に教えるのが大変でした。圧力寸胴なら、時間やガスの強さを数値で決められるので、スタッフにも安定して教えられます。」
鶏白湯専門店の店主(明和製作所の圧力寸胴を導入)
仕込みの時間が減れば、その時間に払っていた人件費か、店主自身の休む時間のどちらかが生まれます。利益の計算では見えにくい部分ですが、人件費率を下げる手段として、スープの炊き方も見直す価値があります。
麺の費用をもっと詳しく知りたい場合
- 月間の杯数別に、手元に残る利益を試算:仕入れ麺から「タイセー」へ切り替えたときの手残り利益
- 買う、借りる、中古の比較:自家製麺は「買う」と「借りる」どっちが得?
6. 自家製麺を試す方法(製麺機タイセーの場合)
製麺機タイセーは、設計と製造を大成機械工業が、販売と導入後の教育を総代理店のキッチンテクノが担う、30年以上続く業務用の製麺機です。利益がどれだけ増えるかを、いきなり機械を買わずに確かめる方法があります。
- 無料のラーメン学校:キッチンテクノが東京と大阪でそれぞれ月1回、札幌で不定期に開いている1日完結の実演会。実機で麺とスープを試作でき、開業と経営のノウハウも学べる
東京の会場:テンポス東京ラーメン専門館(東京都足立区東綾瀬2-1-14)
大阪の会場:テンポス大阪ラーメン専門館(大阪府大阪市住之江区北島2-1-8) - レンタル:月々62,000円からで、自分の厨房に置いて、原価と仕込みの時間を実際に確かめられる。納得してから購入に切り替える相談もできる
- 早期納品:定番のNo.2は早期納品用の在庫を用意しており、在庫があれば国内は1〜2週間で納品できる。整備済みの中古機なら、在庫があれば最短1週間で納品できる
モデルは、小規模店や試作向けのNo.1、最も多くの店舗に選ばれている定番のNo.2、大量仕込み向けのNo.3の3つで、全モデルにミキサーを標準装備しています。本体価格はNo.1が1,688,000円、No.2が1,875,000円、No.3が2,475,000円(いずれも税別、2026年10月時点)で、錆びにくく塗装のはがれがないステンレスバージョンも全モデルで受注生産を始めています(価格はお問い合わせください)。
7. よくあるご質問
個人の店では、店主の給料はどこに入りますか?
製麺機を買うと、その月の利益は大きく減りますか?
利益率は、どのくらいの頻度で確かめればいいですか?
売上を増やすのと、経費を減らすのは、どちらを先にすべきですか?
今月の売上と、原価、人件費、家賃、その他の経費を、一度書き出してみてください。利益率と、返済と生活費を引いたあとに手元に残るお金がわかれば、どこから手をつけるべきかが見えてきます。
麺を自家製にしたら利益がどう変わるか、試算してみませんか
1日の杯数と、今の仕入れ麺の単価をお知らせいただければ、自家製麺に切り替えた場合の原価と利益の試算をお出しします。東京と大阪で毎月開いている無料ラーメン学校では、実際の製麺機で麺を打って確かめることもできます。